公園かもしれないし公園じゃないかもしれません
ネットにはヒーリングミュージックを流しながら睡眠や瞑想の導入メッセージが流れる動画が結構たくさんあります。
その中でこういう感じのメッセージに出会うことがあります。
あなたはうっそうとした暗い森の中を歩いています。
森を歩いていると明るく開けた場所に出てきました。
そこは公園かもしれないし公園じゃないかもしれません。
そこは公園かもしれないし公園じゃないかもしれません・・・?
こんな表現、普段はあまり聞かないですね。
これって何を狙っているのでしょうか?
おそらくこんな感じじゃないかと思います。
あなたにメッセージ通りにイメージしてもらいたい。
暗い森の中から明るく開けた場所に出たイメージを与えたい。
あなたは開けた場所として公園をイメージしたかもしれないけど、公園じゃないかもしれない。どちらにせよ、それを肯定した状態で先に進めたい。
と言ったところじゃないかなと思います。
あなたは小さな違和感とともにこう思うはずです。
公園をイメージしていた場合
「うん、公園をイメージしてたわ。。。公園をイメージしない場合もあるのかもな・・・」
公園じゃないなんでもない場所をイメージしていた場合
「公園?特に公園のイメージはなかったわ。。。なんもない場所のイメージだったわ・・・まあ公園じゃなくてもいいみたいだな・・・」
公園じゃない特定の場所をイメージしていた場合
「公園?違うな。。。でも公園じゃない場所でもいいみたいだな・・・」
この言い回しに慣れた人はさして抵抗なく受け入れるかもしれませんが、普通なら違和感を感じますし、若干思考が走ります。
思考が走るとリラックスから遠ざかります。
もっといい表現はあるはずです。
これではどうでしょう。
あなたはうっそうとした暗い森の中を歩いています。
森を歩いていると明るく開けた場所に出てきました。
ここは公園です。
私はこちらの方がいくらか好きです。
公園です、と言い切ることで、あなたは
「あ、そうなんだ、公園なんだな」
と素直に受け入れることができます。
ただ、これだとまだタイミング的に後出しとなっています。
「明るく開けた場所に出てきました。」
のあと、
「ここは公園です、」
までに間をあけたりすると想像が開始され、具体的に公園じゃない場所をイメージしてしまっていた場合は
「あれ?ここは公園なんだ。私のイメージと違うな。まあいいか。公園ね。。。」
となる可能性があります。
深い催眠状態の場合は思考が言葉より先走ることがなく順番に暗示が入るので全く問題がありませんが、覚醒状態に近い睡眠や瞑想の導入だとやはり思考が走ります。
ちょっと回りくどいですが、私が考えるベストな導入のセリフはこのような感じです
あなたはうっそうとした暗い森の中にいます。
この森を抜けた先の公園を目指してあなたは暗い森の中を歩いています。
ようやく明るく開けた場所に出てきました。
ここは公園です。
これなら、公園がありますよ、来ますよ、という予告をしているので、あなたも思考を走らせることなくスムーズにイメージできると思います。
これをする(これが起こる)とこうなる、と心の準備をさせるのがうまいやり方です。
まあ、そもそも開けた場所に出したいだけなら、公園というワードを出さなくてもい
かもしれませんが。
あなたはうっそうとした暗い森の中を歩いています。
森を歩いていると明るく開けた場所に出てきました。
見渡す限り何もない原っぱが広がっています。
とかで十分ですね。
これは開けた場所のイメージを引き継いで少し強化しただけです。
さらに言うとそのあとで目の前に何かを登場させるなど、ストーリーを転換して先に進めたいなら
ふと見ると、あなたの足元に小さくてかわいい犬がいることに気が付きます。
など、後付けでも自然な表現はできます。
脳内で視線を動かしたら気づいた、という体裁にすれば違和感はありません。
このように催眠術師は違和感や反発心を抱かせないように、表現の仕方や情報の出し方の順番、間に気を使っています。
皆さんの日常会話でもこういったことを意識しながら話せるようになると伝える力がアップしますのでやってみてください。
こちらもお楽しみください
催眠術師シロのウェブサイト Saimin Masters Club Tokyo