催眠マスターズクラブ東京

東京在住の催眠術師シロが、楽しい催眠の世界を紹介するブログです。

パニックに陥った娘

私の3人の娘は3/2から幼稚園、小学校、中学校がコロナウィルス対策で休校となって家にこもっています。


そんな中、中2の長女が熱を出しました。

39度を超え、辛そうです。

 

日中もベッドにこもり、寝ています。

 

ある時、長女が憔悴した様子で泣きながら起きてきました。

「4000円(?)を検索して!早くしないと死ぬ」

みたいなことを訴えながらパニックになっています。

 

つられてパニックになりかけの妻を制し、まず私は妻にタミフルのような幻覚を誘発する薬を飲んだか確認しました。

飲んでいないそうです。薬のせいじゃない。

 

次に目の前で4000円をパソコンで検索して見せました。

大した結果が出ないとわかっているからです。

 

「ほら。検索したよ。」

 

ここで娘は目が覚めてきたのか、検索を実現したことで焦る気持ちがそがれたのか、少し落ち着ました。

 

次に私は呼吸を確認しました。

過呼吸にはなってないけど、ペースが速くなっています。

 

ゆったりした椅子に座らせ、私も正面に同じように座り、娘の両手を握りました。

 

「パパの目をみてごらん。

そう。

そして目をつぶって。

パパの言うとおりに深呼吸しよう。

鼻から大きく息を吸って、口から細く長く、ストローを加えているみたいな感じでゆっくりと息を吐く。

いい?

じゃあやってみよう。

はい、息を吸って・・・」

 

深呼吸を3回しました。

だいぶ落ち着いてきました。

 

「・・・はい、目を開いてごらん。

このパパのこのボタンをみて。

じーっとみてて。

そのまま聞いて。

パパがひとつ、ふたつと数えるから、そしたらゆっくりと目を閉じてゆっくりと目を開ける。

スローモーションみたいに目を開け閉めするよ。

いい?

ひとーつ・・・」

 

これを10回ほど繰り返した後、目を閉じたままにしておいてまた深呼吸を3回。

 

「気づいたら、呼吸が落ち着いています。

次は自分の心臓の鼓動を探してみてごらん。

難しいけど5秒ぐらい探したら見つかるから。

見つかったらドクンドクンを30回数えて。

数え終わったら目を開けていいよ。」

 

「どう?

心臓のドクンドクンわかったでしょ?」

 

「落ち着いた?」

 

「うん」

 

「さっきの4000円を検索してってなんだったの?・・・」

 

とさっきまでのパニックは普通じゃない、おかしい状態だったことを認識させました。

またこんな感じになったら目を閉じてさっきの深呼吸をやってごらん、と伝えました

 

一件落着です。

 

催眠術の知識と技術を応用して、効果的に気持ちを落ち着かせることができました

 

「目を覚ませ!ほら、大丈夫だから!落ち着け!」
みたいに相手の世界観を完全否定して急に現実に引き戻そうとしたり、「落ち着け」と直接命令するよりも、今回の私の対処の方が効果的だったと思います。

 

いったんは相手の世界からゆっくりと現実を見せていって、「落ち着く」ではなく「深呼吸をする」という動作そのものに意識を向ける。

そして続けて副交感神経を優位にする動作をいくつか行わせて、ますます落ち着かせて、しかも自分に落ち着いてきていることを自覚させる。

そして落ち着いたら、先ほどの状態は異常だったことを認識させる。

 

それからの24時間、その後も何度か似たようなパニックは発生しましたが、程度は回を追うごとに小さくなっていました。

 

熱にうなされて、睡眠サイクルも崩れて、こもりっきりでストレスもたまっていたのでしょう。

 

いずれにせよ、落ち着いてよかったです。

 

皆さんもパニックになったと自覚したとき、こういう対処を参考にしてください。


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