かかっているように見えるのに・・・？
先日行った体験会でこんな方がいました。
催眠術に興味があり、しかもかかるよりかけたい欲求が強いようで、独学で知識を得たり、ネットの催眠動画で自分はかかるか試してみたりしているそうです。
そして自分はまぶたが閉じるところまでは行くのだけど脱力が全くできず、それ以降暗示が一切入らないのだ、とおっしゃっていました。
催眠術に対しての考え方とか、自分はこういうタイプだという思い込みが強そうで一筋縄では行かなそうだったので、コンディションをチェックするところから慎重に進めました。
まぶたが閉じるように誘導していると、たしかにまぶたの動きも目の動きも非常にわかりやすく反応しています。
これは意識的に起こそうとしても難しい動きの変化なので、何らかの反応が起きているのは確実です。
また、深呼吸のやり方を見ていると素直すぎるほど指示に従って真剣味が感じられます。
息を吐き切るように指示をすると本当に頑張って息を最後の一絞りまで吐ききっています。
私は
（手強いと思ったから）慎重に進めたけど、それが功を奏してうまく入っていってるなー
と思い始めました。
しかし、体の他の部位、腕や頭に対し、自然と動く暗示を入れてみるとうまく行きません。
わずかに反応はあるのですが、彼の中で驚くほどの成果が得られないので、被暗示性が高まらず、あまり私が満足の行く結果が得られませんでした。
目周辺の暗示は面白いように入り、成功すぎるほど成功しているので、成果ゼロではないにしろ、時間いっぱい使っても彼が期待している（であろう）ほどの深化は得られませんでした。
たまたま彼より先に体験した別の方が今日一番のかかり具合だったので、彼もその現象を目の当たりにしてそれなりに得るものはあったようですが、それでもご本人が体験できた部分は少なく、申し訳なかったです。
ではなぜうまく行かなかったのか。
考えてみました。
ご本人に何らかの心理的なブロックがあったのかもしれません。
「自分は脱力できないし暗示に一切入らないんです」
とおっしゃっていたので、そういう強い思い込みによって、暗示の対象が目以外に移ると気構えてしまって無意識に受け入れなくなっている可能性があります。
目の暗示で成功で高まりかけた被暗示性が他の部位に移ると亢進しなくなっているのだと推測します。
今思えば、目の成功→他の部位失敗 から、目を徹底的にフォーカスを戻して、完全にやりきってからまた他の部位に映ればよかったかもしれません。
もし再チャレンジできるなら、目関連だけで被暗示性を十分に高め、強い催眠認識を起こしてから、暗示の印象が弱い暗示で被催眠性を上げるという運びにしてみようかと思います。
このように対面の催眠は相手に合わせて進行していきます。
集団催眠や動画や音声の催眠はこういった受け手の都合は考慮できませんので、精度が落ちてしまいます。
もしこういった一方向の催眠誘導でうまく行かなかったとしても、対面だとよりよい経験になる可能性がありますのでぜひ起こしください。
